圧接

接合の基本条件

ガス圧接は、鉄筋の接合端面同士を突き合せ、軸方向に圧縮力を加えながら、突き合せ部を酸素・アセチレン炎で加熱し、接合端面を溶かすことなく赤熱状態でふくらみを作り接合する工法です。この時の接合温度は1200~1300℃が適温であると言われています。
接合には、両端面の原子が接合面を跨いで拡散し、金属結合して一体化することが必要です。このためには次の3つの条件を満たさなければいけません。

  1. 加圧:両端面の原子間距離を近づけ、金属結合を促進させる
  2. 加熱:変形抵抗を減じ、原子の動きを活発にする。
  3. 時間:圧接端面の原子が全て金属結合する時間を確保する。

接合部の品質

圧接施工条件が正しく設定され、接合のための基本条件が満たされれば、ガス圧接部の品質性能は母材部とほぼ等しくなり、実用上全く問題がありません。しかし種々の原因でその条件が満たされなかった場合には、接合部の品質は低下します。
ガス圧接部の欠陥には、オーバーヒートや形状不良などの外観で識別できるものと、フラット破面(シリコンやマンガンの酸化物が多量に存在する破面)と呼ばれる平滑な破面のような内部欠陥があります。
外観上の欠陥は肉眼で判断することができ、施工条件を正しく修正することが比較的容易です。しかし、フラット破面の発生原因は多岐にわたり複雑であるため原因の特定は容易ではありません。このフラット破面を発生させないために、作業現場での施工上、数々の注意を必要とします。


鉄筋の材質、化学成分

炭素量の増加はフラット破面の発生を減少させ、シリコン、マンガン量の増加はフラット破面を増加させる傾向が見られます。
圧接作業に適した材料を選ぶ必要があります。


鉄筋端面

鉄筋の端面は酸化しており、この表面の酸化膜が原子結合を妨げ接合が困難になります。したがってガス圧接当日に鉄筋冷間直角切断機による切断又はグラインダーによる研削を行い、酸化膜ならびに他の付着物を除去することが重要です。
ガス圧接時の鉄筋端面間の隙間とフラット破面の関係は、隙間が大きくなるとフラット破面率も大きくなる傾向があります。


ガス炎

鉄筋のガス圧接では、通常、酸素・アセチレン炎が使用され、鉄筋端部の加熱・昇温と、大気中の酸素の鉄筋端面への侵入を防ぐシールドの2つの役割を果たしています。
ガス圧接における適正温度は1200~1300℃といわれ、一定時間内に速やかにこの温度に達するように鉄筋経に対応した適正なバーナを使用し、ガス量を調整します。
圧接開始時の火炎の状態を、アセチレンフェザーが長く還元性の高いガス炎を用いることにより、フラット破面の発生を抑えることができます。


手動ガス圧接

鉄筋の接合端面同士を突き合せ、軸方向に圧縮力を加えながら、突き合せ部を酸素・アセチレン炎で加熱し、接合端面を溶かすことなく赤熱状態でふくらみを作ることで、両端面の原子が接合面を跨いで拡散し、金属結合して一体化します。


熱間押抜ガス圧接

手動ガス圧接直後の赤熱したふくらみを押抜除去することで、表面外観を検査することが可能になります。
熱間押抜ガス圧接の外観検査の判定結果は、超音波探傷検査と同等と言えます。


高分子天然ガス圧接

酸素-アセチレン炎を用いた圧接に比べ製造過程からでは60%、圧接時で25%のCO2削減が図れます。
高分子還元剤(PSリング)を用いて圧接面の酸化を防ぎます。


手動ガス圧接
手動ガス圧接

 


熱間押抜ガス圧接
熱間押抜ガス圧接 熱間押抜ガス圧接